藤枝守|ネイティブなコトバをウタにする

December 14, 2012|講義

「ことばのpicture books講座  カタリツグ篇」の一環として、藤枝守氏(作曲家)による講義が11月9日に行なわれました。

ご自身の「夜の歌」「歌づけ般若心経」という二つの作品に表れるアプローチに焦点をあてて講義が展開しました。「夜の歌」は、ナバホ族の儀礼歌に基づいて作られた作品です。アメリカの現代詩人ジェローム・ローゼンバーグがナバホ族の口承詩を英語に著したテキストを、金関寿夫によって「翻訳」した(音――意味がない言葉はカタカナ表記にして)言葉も引用しています。作品「夜の歌」の映像記録を鑑賞しながら、意味のある言葉ではなく、意味がない言葉、音そのものの中に力が備わるのではないかという考えを述べられました。また、それらが「夜の歌」の中で発話されることにより呼吸の循環が生じ、同時に複数の人が発話することで重なり合い、場の広がりを生んでいくという指摘もありました。
般若心経も、私たちは普段音響的なものとして体験し、唱える行為をしています。この般若心経を伊藤比呂美が新しく訳し、藤枝氏がメロディーに乗せました。わかりやすい言葉を唱える行為とは何か、という問いが投げかけられました。
歌とは、一つの記憶術であり、メロディーとは言葉を乗せることにより、意味以上の何らかのものが生まれるのではないか、という考えも述べられました。歌の持つ役割について、私たちはそれを通じて何を想起するのかという問題も考えさせられました。

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