前嵩西一馬|カタリツグ・プロジェクト わすれたい、わすれてほしくない

July 19, 2012|講義

「ことばのpicture books講座 カタリツグ編」の一環として、前嵩西一馬氏(文化人類学・沖縄研究)による講義が、7月6日に行われました。

ある状況における「受け入れられ方」「解釈」が文化によって違ってくることを、いくつかの映像を通して鑑賞しました。今回の講義では、文章によるテキストではなく、映像を通して鑑賞者が自然に起きた「感情」こそがテキストであると述べられました。
イギリスの有名なコメディ番組で、取り上げられた「原爆」というモチーフ。イギリスの社会を揶揄したジョークのモチーフとして、イギリス人には了解されるが、われわれには受け入れられない「倫理的視点」を留意して鑑賞しました。
また、別の映像では日本の居酒屋で猿が看板ペットとして働く姿に、ヨーロッパ人のコメディアンが、ジョークにすることも忘れ、その状況を「倫理的に受け入れられない」とする場面を見ました。(反対にわれわれは、その猿の姿を「受け入れられる」ことへの指摘がありました。)最後の映像は、沖縄で約50年前に起きた宮森小学校米軍機墜落事故をあつかった番組でした。現地の人々・遺族の方々が現在どのようにその事故を受けとめて「わすれたい、わすれてほしくない」という揺れる気持ちを見つめているか、また事故をどのように語りついでいくのか、鑑賞しました。
各々が語っていく状況を、「カタリツグ・プロジェクト」と名付けた活動は個々人によって今後も続いていく可能性を示されました。

IMG_1052_2.jpgIMG_1047_2.jpgIMG_1063_2.jpg


今後のゲスト講義
姜信子(作家)|7月20日|「カタリツゲナイ」ことを「カタリツグ」
高橋茅香子(翻訳家)|9月21日|立体的な翻訳――英語から日本語へ
藤富保男(詩人)|後期
藤枝守(音楽家)|後期

Lecture: 123456