姜信子|「カタリツゲナイ」ことを「カタリツグ」

August 22, 2012|講義

「ことばのpicture books講座 カタリツグ篇」の一環として、姜信子氏(作家)による講義が7月20日に行なわれました。

語り継ぐとはどういうことか、を巡ってお話をしていただきました。語り継げることを語り継ぐことが記憶の旅だとしたら、語り継げないことを語り継ぐことが、記憶の空白を探す旅にあたるのではないか――。このような考えにたどり着いたのは、父が幼少期に住んでいたとされる三河島を訪ねた際に「3.11」に遭遇し、その経験やそこから感じたことから生じた考えの変化によると述べられました。三河島、済州島、東北、これらの場所で起きた事件(済州島4.3事件、東日本大震災)について、どのように関わり、また考えを巡らせたのか、ご自身の経験を語ってくださいました。
語り継ぐこととは、語り得ないことを思い続けることではないか。思い続けることでつながっていくことが語り継ぐことではないか。語り得ないことを思い続けて、尚つながるためには、断ち切らなければならないことがあり、記憶から切れてつながっていくことが今後みえる可能性だと話されました。記憶によって人は自動的につながっていくが、未来に続いていく可能性として、予感の共同体となりうるだろうか、と今後の展望にも触れていただきました。

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今後のゲスト講義
高橋茅香子(翻訳家)|9月21日|立体的な翻訳――英語から日本語へ
藤富保男(詩人)|後期
藤枝守(音楽家)|後期


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