林道郎|破砕と縫合――《実験場1950s》を巡って
December 25, 2012|講義
講座「Theory Round Table」の一環として、林道郎氏(西欧近代美術史)による講義が、11月22日、29日の二回に渡って行われました。
東京国立近代美術館で開催中の《実験場1950s》(「美術にぶるっ!」展 Section 2)をめぐり、社会的な背景とさまざまな問題が考察されました。
第二次世界大戦が終結し、サンフランシスコ講和条約が発効され、日本が独立国家となって経済成長へと向かう流れと、大日本帝国が崩壊し、山村の運動やサークル運動、労働組合、会社など、小さな共同体が立ち上がってくる「破砕と縫合」が重ねられ、記憶の下層へと沈み、縫い目の痕跡すら見えなくなる縫合や、傷跡が生々しく残り、いつでも破砕しかねない縫合の在り方が、当時の絵画や写真、デザイン、映像、思想とともに分析されました。