杉山享司|柳宗悦の心と眼
February 7, 2012|講義
「ことばのpicture books講座 あわいにある篇」の一環として、杉山享司氏(日本民藝館学芸部長)による講義が、9月30日に行われました。
柳宗悦と民芸の思想が論じられました。柳宗悦については、その生い立ちから紹介され、特に彼が学生の頃から『白樺』に参加していて、そこで培ったものが彼の基礎になっていることが指摘されました。民芸は、1920年代の日本の急速な近代化とそれへの反省から見出された無名の手仕事の文化で、生活用具としてあるものです。
柳はもともと宗教哲学を学び、W・ブレイクに傾倒し、美から真理へ到達しようとしていました。それは直観で見ることでした。彼は美術品に親しみ、美術評論を書いたり、雑誌『白樺』のアートディレクションをしたりしていましたが、あるとき朝鮮の陶磁器と出会い、生活の中にある美を求めるようになりました。
彼には、物が美しくなるプロセスは人間の心が浄化されるプロセスだ、といった考え方があり、物に即して、宗教と美が不可分であるような工芸運動(=民芸運動)を行なっていたといえることが考察されました。