絵本講座 ゲスト講義=みやこうせい

October 26, 2009|講義

色彩と音、共感覚、Переживание(ペレジヴァーニエ)

10月2日「アヴァンギャルドのための絵本講座 旅する人篇」(講師=ぱくきょんみ)にて、みやこうせい氏(エッセイ、メールヒェン、批評)による、ゲスト講義が行われました。

――僕の集まりはいつも雨が降る。モンゴルの砂漠のはずれの村へ訪れた際は35年ぶりに雨が降った。
当日も雨のなか講義が行われ、展覧会などのために来日中で、当日みや氏のお宅にいらしたロシアのアニメーション作家、ユーリ・ノルシュテイン氏や、共に映画製作をされた映画監督、アレクサンドル・ソクーロフ氏とのお話も交えながら、メインテーマである視覚・聴覚・共感覚、色彩と音の問題(音が色と一致し、色がでると音が色にのり移る)、放浪の旅やルーマニア滞在よる体験、翻訳、写真、ロシア語・Переживание(ペレジヴァーニエ)についてお話していただきました。

――草木に話しかけるとさっとよけてくれ、風が全くないところで草木がざわざわと応えている。魂があるのではないかと思う。

――「Переживание(ペレジヴァーニエ)」。feeling、相手の気持ちをわかるという言葉である。feelという英語の文字を見ただけで、胸に熱く迫ってくるものがあったり、大きな感情が自分のなかに沈殿していき、そこから何かものを作り出そうとか、人や世の中のことを考えようという思いになると良いと思う。

――美は地球を救う、と信じてそれがうまくいけばいいと思う。

最後に、みや氏による詩の朗読が行われました。

 吉田一穂

あゝ麗はしい距離(デスタンス)、
常に遠のいてゆく風景 ……
悲しみの彼方、母への、
捜り打つ夜半の最弱音(ピアニツシモ)

『海の聖母』(大正15)所収

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牧師の娘マリアは羊を呼ぶ時、
ハイ、ラ、ママ!(お母さんのところへ
おいで)という
(みや氏からpost cardのプレゼント)

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今後のゲスト講義…………
11月20日(金)|戸田郁子[作家・翻訳家]
12月11日(金)|朴裕河(パク・ユハ)[批評家・近代日本文学・批評史]
*時間ともに18:30-