批評(創造)の現在シリーズ――3 講師=大橋完太郎/橋本聡/松井勝正
四谷階段――失われた足を求めて
9月24日、批評(創造)の現在シリーズ第3回が開催され、大橋完太郎(思想史・表象文化論)、橋本聡(美術家)、松井勝正(芸術学)各氏のレクチャーの後、岡﨑乾二郎が加わりディスカッションが行なわれました。
大橋氏は「ガラパゴス化」をキー概念に、丸山眞男『日本の思想』などを検証しながら、グローバリゼーション以降の今日の状況下で取り残される、ローカルまたはマイナーなものをいかに思考するかの問題を提起しました。橋本氏は、美術や芸術をめぐるカテゴリ、フレームを退けたうえで、近代以降の芸術家の活動を「1.発起 2.参加 3.居候 4.寄生 5.ビジネス」の変遷として概観し、それらとは別の「6.誘拐 0.妖怪」のあり方を示しました。松井氏は、ドガの絵画とデッサンを分析し、踊り子のエチュード(練習、リハーサル)の場面をエチュード(習作)として描く手法などを通して、原因や目的なき反歴史的な時間認識を導きだしました。
ディスカッションでは、iPhoneなどを例に、ガラパゴス的な条件を、種の特性・機能を最小限化し、存続することとしたうえで、さらにガラパゴス・モデルでは不可能な領域確定(メタジャンルの創出)をめぐる議論が行なわれました。そこでは、メジャー/マイナーや、美術館の内/外などの二元論に陥らずに、第三項をいかに確保するかの問いに、無条件に前提として浮上する公共圏への批判などが展開されました。
■レクチャー
大橋完太郎
ガラパゴス・ジャパン?
橋本聡
in This River
松井勝正
ドガ――永遠の現在
Series 1|2|3|4|5
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批評(創造)の現在シリーズ――5…………
12月16日(水)18:30-21:30
木村覚/前嵩西一馬/柳澤田実/岡﨑乾二郎
【シリーズの詳細】