批評(創造)の現在シリーズ――1 講師=荒川徹/草刈思朗/中井悠

November 20, 2009|講義

先験的時差ボケ――作品単位と同期性をめぐって

7月4日、批評(創造)の現在シリーズ第1回が開催され、荒川徹(芸術哲学・芸術科学)、草刈思朗(音楽家)、中井悠(音楽)各氏のレクチャーに続き、ディスカッションが行なわれました。

中井氏のレクチャーでは、デヴィッド・チュードアの1960-70年代の作品の分析を通じて、演奏(楽器)の不確定性、フィードバック・ループを持つチュードアの回路の可能性などが語られました。荒川氏は60年代のブルース・ナウマンらによるビデオアート作品と近年の認知科学的な知見を比較しながら、ビデオ映像と身体感覚の同期あるいは非同期による自己認識や空間認識の変化について分析しました。草刈氏は相対性理論やドップラー効果をシミュレーションした作品を通して、絶対的な時間が成立し得ないことの科学的な明証を試みました。

ディスカッションでは、絶対的な時間や空間、あるいは客観的な観察者の視点が成り立たないとすれば作品という枠組みはどのようにして組織され得るのか、また、回路(作品)は知性を持つことができるのかといった問題が議論されました。

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■レクチャー

中井悠
クロックレス・サーキット

荒川徹
同期と自己性——ブルース・ナウマンの実験

草刈思朗
Experimental Jet Set, Trash and No Star

質疑応答:岡﨑乾二郎


Series 12345

批評(創造)の現在シリーズ――5…………

12月16日(水)18:30-21:30
木村覚/前嵩西一馬/柳澤田実/岡﨑乾二郎
【シリーズの詳細】