批評(創造)の現在シリーズ――5 木村覚/前嵩西一馬/柳澤田実/岡﨑乾二郎

December 2, 2009|講義

言説という罠(Public Enemy as Public Interest)


ゲスト各氏のレクチャーの後、ディスカッションを行ないます。

■講師/レクチャーテーマ

木村覚[美学・ダンス研究・批評]
他者のパフォーマンスを(パフォーマンスとして)理解すること 約束とパフォーマンス


前嵩西一馬[文化人類学・沖縄研究]
「ふつうにはなせ」――誤爆する私的言語
"Talk Japanese": Private Language as Friendly Fire


たとえば日本のナショナル・イマジナリーにおける「北朝鮮」、あるいは連日ワイドショーをにぎわす「私人」としての被告人たち、そして在日米軍基地問題…。来るべき「他者理解」のため、この「狂態」を転覆させることはできるだろうか。アクロバティックで切実な軌道を描くミサイルは、70年代沖縄から飛来する。当時ブラジルから帰「国」した沖縄移民の三家族が密輸する「信念」は、現在を正確に誤射する。


柳澤田実[哲学・生態学的人工物研究]
他方、家畜は立っていた:功利性の外部はいかにして現れうるのか

良心の呵責や罪責感を飼いならすために論理や儀礼が生み出されることがある。犬死にしてしまった者に対して「犠牲の論理」を作って祀り、自分の補食対象に対して供儀を行うといったように。ラスコーの壁画が描かれた先史時代から、アートは一面において、こうした罪責感の解消というヒトの手前勝手な営為と密接に関係してきた。言うまでもなく、このような営為において、他者は昇華のエコノミーのなかに回収されてしまう。と同時に、アートにおけるイメージの探求が、こうした功利性に基づく論理の外部を自ずと出現させてしまうこともあるように思う。バタイユならば「道徳の頂点」と呼んだであろう、功利性が無効化する可能性について、家畜を作品化したカラヴァッジオ(1571-1610)とメナシュ・カディッシュマン(1932-)を中心に考える。カラヴァッジオのリアリズムに関連し、現代の進化論的・生態学的アプローチが他者理解のために寄与する可能性についても言及する予定である。


岡﨑乾二郎[造形作家、本校主任ディレクター]

この講座は「岡﨑乾二郎対談シリーズ」と連動した連続講座です。
ピックアップ受講(単独聴講)は本校受講生、会員にかぎり可能です。

>>シリーズ受講の詳細

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申し込み方法
*本校受講生、会員にかぎり2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話/ファックスでまたは直接ご予約ください(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。

■日時:12月16日(水)18:30-21:30
■会場:四谷アート・ステュディウム講義室
■受講料:2,000円
■お申し込み/お問い合わせ:
近畿大学国際人文科学研究所東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30−17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300


木村覚きむら・さとる
1971年生まれ。美学、ダンス研究、批評。日本女子大学人間社会学部専任講師。BRAINZ第一期講師。DIRECT CONTACT企画者(大谷能生とともに)。『wonderland』『artscape』『Quick Japan』『Review House』などに批評文を寄稿。主な論文=「彼らは「日本・現代・美術」ではない」『Review House』02(Review House編集部)、「「死者」と一緒に踊る老体――『ラ・アルヘンチーナ頌』の分析」『言語文化』第25号(明治学院大学言語文化研究所)など。近刊=『フィジカル・アート・セオリー入門』。

前嵩西一馬まえたけにし・かずま
1971年生まれ。コロンビア大学人類学部博士課程修了。文化人類学・沖縄研究。現在、早稲田大学琉球・沖縄研究所客員講師、明治大学兼任講師、ならびに、早稲田大学演劇博物館グローバルCOE「演劇・映像の国際的教育研究拠点」研究員などを務める。主な論文=「文化を漕ぐ、言葉を焼べる――沖縄の近代性と共同体に関する民族誌的断章」『琉球・沖縄研究』第2号(早稲田大学琉球・沖縄研究所)など。

柳澤田実やなぎさわ・たみ
1973年生まれ。哲学・生態学的人工物研究。南山大学人文学部准教授。編著書=『ディスポジション:配置としての世界』(共著、現代企画室)。主な論文=「宗教的経験と行為の動機づけ――経験科学に基づく宗教研究の可能性」『南山神学』第36号(南山大学大学院神学研究室)、「キリスト教から読む大野一雄――魚釣りとしての人間」『言語文化』第25号(明治学院大学言語文化研究所)、「地続きの思想――木村敏、中井久夫」『SITEZERO/ZEROSITE』No.1(メディア・デザイン研究所)、「自己展開するイメージ」『表象』01(表象文化論学会/月曜社)など。

岡﨑乾二郎おかざき・けんじろう
1955年生まれ。造形作家。近畿大学国際人文科学研究所教授。主な作品=《あかさかみつけ》《灰塚アースワークプロジェクト》《回想のヴィトゲンシュタイン》《Random Accident Memory》《I love my robots》(Trisha Brownとの共作)など。主な著書=『ルネサンス 経験の条件』(筑摩書房)、『れろれろくん』(ぱくきょんみとの共著、小学館)、『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』(谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス)、『絵画の準備を!』(松浦寿夫との共著、朝日出版社)、『芸術の設計』(フィルムアート社)など。http://kenjirookazaki.com/


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