ことばのpicture books講座 ゲスト講義=前嵩西一馬[9月16日]

September 4, 2011|講義

ことばのpicture books講座 あわいに在る編(講師=ぱくきょんみ)では、9月16日(金)ゲスト講義に、前嵩西一馬氏(文化人類学・沖縄研究)をお招きします。

講義テーマ
「あわい」の場所、「あわい」の時間

自己と他者、右と左、狂気と理性、あの世とこの世、それらの狭間や亀裂を覗き込む眼差しを、「あわい」というどこか優しい響きを持つ言葉が包み込む。その滋味を失うことなく、「あわい」を「あわい」と名指す場所と時間について、みなさまと考えてみたいと思います。

歴史化や俯瞰と手を組み、境界線や変化といった「差違」を把握する視点=分節化の力は、「あわい」とどのような関わりを持つのでしょうか。「あわい」の只中にいる当事者は、「あわい」を「あわい」と知ることができるのでしょうか。もし知ることができるのであれば、それは彼や彼女にどのような「力」を授けるのでしょうか。

ところで、”boy-and-girl”という英語表現があります。二つの幼い「主体」——未熟さと可能性を秘めた存在として事後的に措定される未だ主体ならざる主体——の「あわい」に発生する気体/期待は、すでに失われたものである、あるいは私(だけ)のものではないという喪失感や距離感を伴い、「淡い恋の」という意味を贈与してくれます。また、”entre chien et loup”という、直訳すると「犬と狼の間(あわい)」という意味を持つフランス語表現があります。犬と狼の区別がつかない「空間」は、わたしたちの生命を脅かすと同時に豊かな想像力をもたらす「時間」を伴い、「黄昏刻」という意味を授けることになります。

「あわい」という概念が思いがけず指し示す「ある距離を歩いてきた経験(を共有するという意識)がもたらす、達観や共感、共苦」について、心に灯る小さな詩編からお茶の間を賑わす話芸まで具体的なテクストを用いながら考えてみたいと思います。


申し込み方法
*会員以外の方も、2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話/ファックスで、または直接ご予約ください。
(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)

■日時:9月16日(金)20:00-21:30
※19:00-20:00に、ゲストの講義内容と関連する発表が行われます。
こちらもあわせて聴講されることをおすすめします。
(ゲスト講義の受講料のみでご参加いただけます)

■会場:四谷アート・ステュディウム 仮校舎講義室【地図】
■受講料:2,000円
■お申し込み/お問い合わせ:
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒107-0061 東京都港区北青山2-7-25 神宮外苑ビル3F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300


前嵩西一馬まえたけにし・かずま
1971年生まれ。コロンビア大学人類学部博士課程修了。文化人類学・沖縄研究。現在、早稲田大学琉球・沖縄研究所客員講師、早稲田大学、明治大学、日本大学にて兼任講師を務める。主な著書・論文=『沖縄学入門――空腹の作法』(勝方=稲福恵子と共編著、昭和堂)、「沖縄で探す「鞘」の言葉――「高度必需品」としての蝶柄、笑い、生物群」『思想』9号(2010年、岩波書店)など。


【今後のゲスト講義スケジュール】
9月30日(金)………杉山享司(日本民藝館学芸部長)
10月28日(金)………中村輝子(ジャーナリスト)
11月11日(金)………和田忠彦(イタリア文学者、東京外国語大学副学長)
11月25日(金)………羽田澄子(記録映画作家)
12月9日(金)………藤富保男(詩人)