林道郎|ゼロックスとカレンダー:セス・ジーゲローブと編集の政治学――補遺1、2

July 11, 2008|講義

講座「THEORY ROUNDTABLE」の一環として、美術史・美術批評家の林道郎さんによる講義が6月26日、7月3日に四谷アート・ステュディウム講義室で行なわれました。

1960年代、アーティスト・ブックが新しいメディアとして注目を集めるようになりました。そしてコンセプチュアル・アートの展開において「本」という形式は重要な位置を占めています。
講義では2回にわたり、紙上の企画を含めて数々の展覧会に関わったセス・ジーゲローブの軌跡をたどりながら、とりわけ彼が好んで用いたカレンダーというメディアの役割について詳細な分析が行なわれました。さらにコンセプチュアル・アートの中性的なデザインや簡素なスタイルなどの特徴に注目し、それらが実際には当時の美術の制度的状況に対する介入であったことの意味が検討されました。たとえば言語を用いた作品においても、それぞれのアーティストの関わり方の違いによって、主体の行為を強調するか、非人称的な記録を志向するかという違いが生じています。このように、コンセプチュアル・アートの多様なあり方を検証しながら、カレンダーによって空間化された時間の固有性についての議論が深められました。

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第1回
[中]Lawrence Weiner, Trace/Traces, 1970
[右]Richard Serra, Verb List Compilation: Actions to Relate to Oneself, 1967-1968

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第2回
[中・右]Seth Siegelaub, March 1-31, 1969, 1969