岡﨑乾二郎対談シリーズ――5 ゲスト=柄谷行人

April 11, 2010|講義

世界同時革命を論じる

2月27日、柄谷行人氏(思想家、近畿大学国際人文科学研究所前所長)をゲストに迎え、岡﨑乾二郎対談シリーズ第5回が開催されました。

まず、柄谷氏より、著作『世界共和国へ』(岩波新書)に基づいて、「国家」と「ネーション」は幻想ではなく経済的な基盤を持ち、互酬・再配分・商品交換は広い意味でどれも交換であり経済活動であることが確認されました。そして、その三つの交換様式が相互に深く絡み合っている現在の「資本=ネーション=国家」システムに抵抗するには、世界同時革命が必要であることが説かれました。また、その場合の「同時」とは、時間的な同時性ではなく、国際連合に基づいた合意のプロセスであることなどが語られました。
後半の対談では、岡﨑氏から投げられた、人間同士の交換ではなく人間と自然との間の交換である物質循環に関する質問をめぐって議論されました。また、ありうべき四つ目の交換様式Xについての議論では、それが返礼を期待しない贈与のようなかたちをとるだろうこと、Xは互酬的な交換の単なる模倣ではなく、フロイトの言う抑圧されたものの回帰のかたちをとって現れるだろうことなどが示唆されました。

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Series 12|345