絵本講座 ゲスト講義=四元康祐

October 6, 2008|講義

越えて伝わる詩学について

詩とは何か? 翻訳されるとなくなるものと言われる一方で、旅をして、人と人が出会えば、国を越え、言語を越え、一層強力になり、伝わっていくものとも言われる。ダンテ『神曲』の英訳を四元さんが和訳したテキストを朗読して頂いた後、詩とは何かという問いかけに対する答えを、『神曲』や自身の翻訳の仕事(ウェブサイトPOETRY INTERNATIONAL)や各地の詩祭へ参加した経験などを例にあげて話して頂く。ダンテがそれまでの自分に起こった精神世界の現実を言葉に変換したものが『神曲』であるとすれば、それは自我(エゴ、我執、業)を越え、自己(セルフ)に辿り着く旅であるし、意識可能な領域から(集団的)無意識の領域に辿り着く旅であるとも解釈出来る。詩を翻訳しているとき、言葉も時代も国も違うけれども、集団的無意識は繋がっているのではないかと、よく感じる。各地を旅しているときよりも詩を書いているときが一番旅をしているのかもしれない。詩の本質は、境を越えて、越境することではないだろうか?―― 最後に、四元さんと会場にいらしていた詩人、田口犬男さんが最新詩集『対詩 泥の暦』(四元康祐・田口犬男共著、思潮社)より1篇ずつ自身の詩を朗読してくださった。[田原]

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講義は、「アヴァンギャルドのための絵本講座 20世紀のテーゼとしての女性と表現」
(講師=ぱくきょんみ)ゲスト講義として、9月12日に行なわれた。

今後の予定…………
ゲスト講義
10月10日(金)|國峰照子[詩人]
11月28日(金)|水田宗子[城西国際大学学長、女性学研究]
詩の朗読会
12月25日(木)※予定|特別ゲスト 津久井ひろみ(今春、詩集『水が笑う』を刊行)