斎藤環|母子論 映画『母なる証明』を起点として

August 17, 2010|講義

「ことばのPicture Books講座 母なるもの篇」の一環として、斎藤環氏(精神科医・評論家)による講義が、6月25日に行われました。

映画『母なる証明』(監督: ポン・ジュノ)に見られる身体性、母子密着の分析を起点として、母娘関係について考察されました。 『母なる証明』においては、鍼の両義性(=癒しの道具/皮膚を傷つける道具)、記憶の両義性(=思い出すこと/忘れること)といった弱い対立項が同時に示されていることが指摘されました。その技法によって、赤ん坊が母親の持つ多元的な面を統合し、対象同一性・母親の身体性を獲得していく過程を映画の中でシュミレートさせ、見る者に身体性の感覚をもたらすことが示されました。
また、女性たちの体験談や文学作品、漫画作品に見られる母娘関係の事例を参照しながら、「母性」や、身体性・言葉によって引き起こされる「母による娘支配」についての考察がなされました。

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ことばのPicture Books講座 後期ゲスト予定
11月26日|佐川亜紀(詩人)
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