高橋芽香子|立体的な翻訳――日本語から英語へ

November 1, 2012|講義

「ことばのpicture books講座 カタリツグ篇」の一環として、高橋茅香子氏(翻訳家)による講義が9月21日に行なわれました。

立体的な翻訳とは何か、をテーマに講義が展開されました。“Hellen Keller at Niagara Falls”という英文をテキストとし、それを訳しながら、英語から日本語へと訳す際の重要なポイントを教示してくださいました。

翻訳でまず重要なことは、文章に記されている人物や場所といった固有名詞を仔細に調べることであり、テキストの背景にある状況を知り、また理解することで日本語が導きだされるのだと述べられました。例えば、「good friend」という単語を訳すには、good friend といわれている人たちの年齢や、どういう人物であったかをよく調べる必要があり、そうすることで人物の関係が浮かび上がり、適切な日本語も生まれてきます。こうした関係が浮かび上がってくることを、「空間的立体」と定義されました。
また、立体的な翻訳にはもうひとつ、「時間的立体」も存在すると述べられました。それは、文法の時制をつかむことです。例えば「had learned」、これは文法上、過去完了形であり、「すでに学んでいた」と訳すことができます。時制をつかむことにり、現在なのか、過去なのか、どのくらい前の過去なのかを知ることができます。

翻訳とは書かれてあることをただなぞるものではなく、表現の背後にあるものを丹念に調べ、そこから想像することで、作者の世界に迫ることができるのだと指摘してくださいました。

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今後のゲスト講義
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