Nature of Futureゼミ ゲスト対談 vol.2=いとうせいこう/中田兼介

November 7, 2012|講義

Yotsuya Art Studium meets DOMMUNE大学
生命とは何か――昆虫

10月15日、渋谷のDOMMUNEにて「Nature of Future――環境・文化耕作ゼミ」の一環として、ゲストに中田兼介氏(動物生態学・動物行動学)を迎えて、いとうせいこう氏による対談シリーズの第2回が行なわれ、ライブストリーミングサイト「DOMMUNE」の番組としてインターネット中継されました。

クモがご専門の中田氏から、まず、節足動物であるクモと昆虫との違いが説明された後、節足動物は、体の節と脚が一つの単位となり、それが繰り返す構造を持つ特徴があることが示されました。次に節足動物と脊椎動物、それぞれの顎と羽の比較から、昆虫は進化の過程で、脚が、顎や目や触覚などの器官に変化していったことが述べられ、そこから二つの生命の進化におけるコンセプトの隔たりが語られました。また、昆虫のメスは貯精嚢を持ち、別の雄の精子で数回に分け卵を産むことが可能なことや、生殖を巡る戦略について図解がされました。その一例としてヨツモンマメゾウムシがメスの卵を独占するために、交尾中にメスの生殖器官をトゲのついたペニスで破壊し、別のオスの精子を受け入れることができないようにしているとの解説がありました。

後半は、クモの生態を中心に展開されました。クモが網を作る手順の分析では、枠として使われる粘着力の無い糸と、最後に中心に向って張る捕獲用の粘着質の糸、さらに、餌を包むときのシート状の糸など、多い場合は6種類もの糸を使い分けることが示されました。また、縦長に網を張り、餌である蛾をその上を転げ落ちるように仕向けるクモや、一本釣りをするクモ、網を張らず待ち伏せをするクモなど、クモと糸と網の多様な関係が考察されました。いとう氏からは、そうした驚異的な機能を備えるクモにわれわれが学ぶべきヒントとして、それらが、デザイン、建築、手法、捕虫のための道具といった重なりのなかに存在するものであるという指摘がなされました。

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特別協力:DOMMUNE / 宇川直宏
協力:大野ケイスケ

第3回予告|12月10日(月)19:00-21:00
いとうせいこう(作家)/坂本裕一(岩手生物工学研究センター主任研究員)


Lecture|123