中村輝子|「さあ、庭から出てお行き。」(『ビラヴド』より)
February 8, 2012|講義
「ことばのpicture books講座 あわいにある篇」の一環として、中村輝子氏(ジャーナリスト)による講義が、10月28日に行われました。
いくつものあいだに立つものとして呈示され、響きあう思想、ことばを作り出すこと。そういう表現方法や生き方として、ゾラ・ニール・ハーストンが論じられました。ゾラは、1920年代ニューニグロの文化運動が起こっていたNYで作家となり、それからフランツ・ボアズに人類学を学び、アメリカの黒人フォークロア世界の調査を勧められたのでした。
ゾラの方法は、調査対象の外部と内部のはざまに立ち、素材と研究の相互作用が方法になるような、特異なものでした。ゾラによる地の文と話し手の話が融合しているような書き方で、民話と自分の想像力と境界が不明確だと批評されることもありました。
ゾラは、黒人は歴史的に社会的に抑圧されているから、社会意識を高めるものや民族アイデンティティを探究するものを書くべきだ、とは考えませんでした。
ドイツ在住の作家多和田葉子や、南アからボツワナへ難民となっていた作家ベッシー・ヘッドも論じられ、問題はステレオタイプな「力の問題」ではないことが示されました。