林道郎|「拡張」論のための序

November 13, 2008|講義

講座「THEORY ROUNDTABLE」の一環として、美術史、美術批評家の林道郎さんによる講義が10月30日、11月6日の2回にわたって行なわれました。

ロザリンド・クラウス「拡張された場における彫刻」(『オリジナリティと反復』)を手がかりに、60年代以降彫刻に起こった問題群を検証し、さらにクラウスの現象学的な「拡張」よりも広範な射程にある、システムや環境など、身体を超えた社会的次元での彫刻概念が検討されました。
視覚中心主義批判と隠喩としての「彫刻」をめぐり、主にマーシャル・マクルーハンの理論とコンセプチュアル・アートの関係を取り上げ、インターメディアの問題(メディアとメディアの接触)やシンタックス的統合の不可能性、特権的な視点の不在(作者の死)や断片的複数性(トータルではなく、アレゴリカルな全体)、フレームの任意性(意味のフレーミング-脱フレーミング-意味の不在=偏在)などにおける、両者の連続性と差異が分析されました。[秋本]

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