批評(創造)の現在シリーズ――1 講師=伊藤亜紗/上崎千/柳澤田実

November 24, 2008|講義

10月21日、批評(創造)の現在シリーズ第1回が開催され、柳澤田実(哲学・キリスト教思想)、伊藤亜紗(パフォーマンス/文学研究)、上崎千(芸術学・批評・アーカイヴ理論)各氏のレクチャーに続いてディスカッションが行なわれました。

まず柳澤氏から、アンドレ・ルロア=グーラン『身ぶりと言葉』などを参照しつつ、日常とは異なるリズムの創造という観点から「身振りの生態学」として芸術が定義されました。続く伊藤氏のレクチャーでは、自ら症例かつ解釈者になるダリのPCM(偏執症的批評方法)を用いて、いわば解釈が症例(作品)に先立つ事例として未来派(マリネッティ)に注目し、あるゲーム(現実)内で別なゲームをはじめる境界の操作としてのパフォーマンス概念が定位されました。最後に上崎氏により、エドワード・ルシェーの印刷物(printed matter)『Every Building on the Sunset Strip』が、ロバート・スミッソンが提唱した「印刷された問題(printed matter)」を援用して分析され、また同時に、マテリアルとイデアの間に横たわる'matter'(問題)に基づくこの概念が検証されました。ディスカッションでは、芸術作品を記述するさい、その解釈に客観性を与える、作品に内在する形式をいかに引き出すかが焦点となりました。

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レクチャラー/テーマ
[写真左から]
柳澤田実|身振りの生態学:動きの意味、それってどういう意味?――
プリミティヴ・アートからパフォーマンスへ
伊藤亜紗|批評とパフォーマンスの交差点:PCM(偏執症的批評方法)について――ダリとマリネッティ
上崎千|ペイヴメント:舗装道路と「印刷された問題(printed matter)」――
ルシェーの『Every Building on the Sunset Strip』を読む

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≫関連企画 批評の現在 シンポジウム
[12月23日13:00-|東京国立近代美術館 講堂]