國峰照子|詩人・藤富保男がサティの影を追いかけるとき

October 31, 2008|講義

10月10日、「アヴァンギャルドのための絵本講座 20世紀のテーゼとしての女性と表現」(講師=ぱくきょんみ)ゲスト講義として、詩人の國峰照子さんによるレクチャーが行なわれた。

講座は、藤富保男さんの詩に曲をつけた矢野顕子さんの歌「一分間」とともに始まった。國峰さんの藤富保男詩論を「藤富さんの手法は、(1)異常な比喩を用いて巨視的に提示、(2)レトリカルに回転を与え、(3)位相を重ねてどんどん遠くにさせる」と提示された後、藤富さんの詩を鑑賞した。ビジュアルポエトリーをプロジェクターでみたり、藤富さん自作朗読「狂詩曲・鈴木清」をMDで聞いた。そして音楽界の異端児、変わり者と称され、國峰さんいわく藤富さん同様、諧謔と遊び心にあふれる芸術家、エリック・サティの詩の翻訳を、藤富訳と秋山邦晴訳とで比較したり、サティ「本日休演」を聞いたりと、あらゆる角度から藤富保男さんの詩とは何かということを感じる時間を演出して頂いた。最後に藤富さんの詩をいくつか國峰さんが朗読された。[田原]

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右|藤富保男『サディ氏人相書付』書肆山田、1994年