右は実物の豆腐を見ることなく、可能な限り正確に豆腐らしい立体を形作ることを試みた物体である。
左は具体的に「豆腐」と呼ばれている対象を実物大で忠実に模写した物体である。

右はあらかじめ与えられた概念としての豆腐を、規定的なものとみなすことによってなされる分析的判断に基づく。
左はそのような概念に依拠することなく、模写の経験におけるその都度の反省によってなされる総合的判断に基づく。

右は超世界的なイデアとそのコピーとしての経験的世界という厳密な対概念を軸にするプラト二ズムの豆腐である。
左はすでに流出してしまっているコピーから出発して、直観によるイデアへの回帰を模索するネオプラト二ズムの豆腐である。

さて、豆腐はどこに実在するのか。

2003 | ミクストメディア | 10×9.5×4cm(×2)