壁に展示されているソーラーパネルは作品の本体ではない。作品はきわめて精緻に確定された、半径4.5mmの赤い光の領域である。この微かな発光のために、ソーラーパネルははるかに大きな面積と照度の光を必要とする。しかし当然のごとく、その明るさの中では、作品の光は繊細すぎて見ることができない。いうまでもなくわれわれの視覚は対象を見るために光を必要とする。しかし光自体を視覚が捉えようとすると光はためらうことなく視覚を奪い去る結果をもたらす。かつてターナーが試み、絵画を瓦解させてしまった主題もこのアンチノミーだった。このアンチノミーを回避するためには、ソーラーパネルと赤い光の領域のあいだに距離と闇が必要となる。「われわれが太陽を凝視しようと努力して眩しさのため目をそらすと、いわば治癒手段として暗色の斑点がわれわれの目に浮かぶ」(「悲劇の誕生」)。かつてニーチェはこう言ったが、悲劇とはこれほど微細(半径4.5mm)なものなのである。

2003 | LED、ソーラーパネル、エナメル線