『ろうそくの炎がささやく言葉』刊行

June 8, 2011|お知らせ

「ことばのpicture books講座」講師、ぱくきょんみさんの新作が、以下のアンソロジーに収録されます。編者の一人である管啓次郎さんは、2010年度の講座ゲストとしてお越しいただきました。(講座レポートはこちらです)

『ろうそくの炎がささやく言葉』
管啓次郎・野崎歓編

発行:勁草書房
発売:2011年8月5日[予定]
予価:2,000円
A5判・200頁
【刊行特設サイト】

■内容紹介

3月11日の震災とそれに続いておこった圧倒的な出来事を前にして、言葉や本に関わる人間にできること。それは沈黙に抵抗しつつ、小さな言葉をそっとさし出すことではないでしょうか。そんな気持ちを出発点として、ろうそくの炎で朗読して楽しめる詩や短編を集めたアンソロジーを編むことにしました。
 
現実のあまりのきびしさに、言葉を失い茫然と立ちすくむしかないときがあります。しかし人間の歴史においては、いつもどこからか、生の痛みと苦しみと歓びをめぐるうたが湧きおこり、物語が紡がれてきました。この本をとおして、被災されたみなさんに連帯の気持ちを伝え、希望の種子となるような言葉を送りたい。そうでない人たちには、日常生活から大きくはなれることなく楽しんでいただきながら、私たち全員が経験した出来事についてともに考えていくためのきっかけをつくりたい。そう願っています。

ろうそくの炎に踊る文字を読むこと自体、魅惑の時間へのいざないです。目をこらす、ちかづく、あたたかさを感じる、ページをめくる、くちびるを動かす、喉をふるわせる、耳をすませる――そこに生じるのはきわめて直接的な喜びです。と同時に、よけいな電力をつかわなくても、時には使わないほうが、ゆたかな時間をすごせるのでは、という小さな提案でもあります。

言葉の仕事をしてきた私たちがこれからも沈黙に陥ることなく言葉を紡いでいくという意志をこめて、収録作品はすべて新作か新訳といたしました。また人間の経験には多様な応答のしかたがあると考えることから、内容は震災と直接関わるものも関わらないものもあります。世界をつねに新鮮に見せる言葉への信頼と未来への寿ぎを込めたこの本を、手にとっていただけたら幸いです。

※本書籍の売り上げの一部は「東日本大震災」復興支援のために寄付されます。

■執筆者

明川哲也[作家、詩人、道化師]
新井高子[詩人]
石井洋二郎[東京大学教授、フランス文学]
鵜飼哲[一橋大学教授、フランス文学・思想]
エイミー・ベンダー[作家、在アメリカ]
エリザベス・マッケンジー[作家、在アメリカ]
笠間直穂子[上智大学ほか非常勤講師、フランス文学]
工藤庸子[フランス文学、東京大学名誉教授]
小沼純一[詩人、音楽・文芸批評、早稲田大学教授]
柴田元幸[翻訳家、小説家]
ジャン=フィリップ・トゥーサン[作家、映画監督、写真家、在ベルギー]
管啓次郎[詩人、明治大学教授、コンテンツ批評]
スチュアート・ダイベック[作家、在アメリカ]
関口涼子[詩人、翻訳家、在フランス]
田内志文[文筆家、翻訳者]
谷川俊太郎[詩人]
旦敬介[作家、翻訳家、明治大学教授、アフロ・ラテンアメリカ文化研究]
鄭暎惠[社会学者、大妻女子大学教授、旅人または非国民]
冨原眞弓[聖心女子大学教授、フランス思想・北欧文学]
中村和恵[もの書き、明治大学教授、比較文学]
西山雄二[首都大学東京准教授、フランス思想・文学]
根本美作子[明治大学教授、フランス文学]
野崎歓[翻訳家、エッセイスト、東京大学准教授、フランス文学]
ぱくきょんみ[詩人]
林巧[作家]
文月悠光[詩人]
古川日出男[作家]
細見和之[詩人、大阪府立大学教授、ドイツ思想]
堀江敏幸[作家、早稲田大学教授、フランス文学]
岬多可子[詩人]
ミシェル・ドゥギー[詩人、在フランス]
山崎佳代子[詩人、翻訳家、在ベオグラード]