ことばのpicture books講座 ゲスト講義=佐藤泉[10月29日]

September 26, 2013|講義

「ことばのpicture books講座 Lost Modern Girls編」(講師=ぱくきょんみ)では、ゲストに佐藤泉氏(日本近代現代文学・批評)をお招きして、以下のテーマで公開レクチャーを行なっていただきます。

二つの言葉、二つのこころ――森崎和江のことばを読む

森崎和江は、日本の植民地支配下におかれていた時代の朝鮮に生まれた。朝鮮の風景のなかで、基本的な美意識、感性を育んだこの女性は、一七歳のときに日本に「留学」し、そこで日本の敗戦をむかえている。こうした経歴をもった女性にとって、故郷とはなんであり、日本語とはなんであり、「わたし」とはなんであるのだろう。どこかざらざらとした彼女の言葉をたどってみるなら、そこにはどんなノイズがきこえてくるだろう。「日本的」しがらみのない植民地で成長した彼女は、「日本的」な共同体感覚に違和を感じていた。その意味で、彼女は本当の「モダンガール」だった。

「モダンガール」の経験の核にあるのは、自分のいるべき場所にいないこと、自分がいてはいけない場所にいることかもしれない。しかしそれくらいにねじれた場の感覚をもつのでないなら、本当の自由を考えることなどとてもできないのかも知れない。

申し込み方法
*会員以外の方も、1コマ2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話またはファックスでご予約ください。会員の方に限り、メール予約も受け付けます(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。

■日時:2013年10月29日(火)20:00-21:30
■会場:四谷アート・ステュディウム講義室 【地図】
■受講料:2,000円

■お申し込み / お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300


佐藤泉さとう・いずみ
青山学院大学文学部日本文学科教授。専門は日本近代現代の文学と批評。著書=『漱石 片付かない〈近代〉』(NHK出版)、『戦後批評のメタヒストリー』(岩波書店)、『国語教科書の戦後史』(勁草書房)、『異境の日本語』(社会評論社)など。

ことばのpicture books講座 Lost Modern Girls編講座案内>>
今年度は、1920年代以降のモダニズム文化の系譜をたどる「モダン・ガール」論再考。
「彼女たち」はいかにして世界を獲得し、失ったのだろうか。


今後のゲスト講義スケジュール
10月15日(火)|前嵩西一馬(文化人類学・沖縄研究)|「モダンガール」のMemoirist(回顧録者)は誰か?
11月12日(火)|柴田元幸(アメリカ文学研究者、翻訳家、小説家)
11月26日(火)|國吉和子(舞踊研究・評論)|もうひとつの近代舞踊―フォックストロットを踊る芸者達
12月10日(火)|ヤリタミサコ(詩人)|アメリカ現代詩の女性詩から
※時間はいずれも20:00-21:30、申込み受付中。