Theory Round Table 講義=蔵屋美香[6月28日]

June 18, 2012|講義

あつく塗る――ゴッホと由一と劉生と

油彩画における「厚塗り/盛り上げ」、いわゆる「インパスト impasto」は、主題や構図、タッチ、色彩といった画面内のさまざまな要素の中に、どのような意味を担って配置されるのでしょうか。一般にヴェネツィア派以降可能になったとされるこの技法は、日本では明治の終わり、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの流行とともに定着を見ました。またこれに先立ち、高橋由一のように、独自のルールに従ってこの技法を用いた画家もいます。
ある時は画家の心情や描画のプロセスを見る者に追体験させるためのツールとして。ある時はミメーシス的効果と絵具の物質性との間の落差を利用した視覚的操作のためのツールとして。また絵具と光、絵具と色彩といった問題を考える手立てとして。ヴァン・ゴッホ《アルルの寝室》(1889年)、高橋由一《美人(花魁)》(1872年)、岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》(1915年)といった作例の中に、多様な厚塗り/盛り上げの意味を探りたいと思います。――蔵屋美香

Theory Round Tableでは、蔵屋美香氏(東京国立近代美術館美術課長)をお招きし、上記テーマで講義を行なっていただきます。
なお本講座は、「美術史再考――知覚の変動としての歴史あるいは知覚されたものとしての歴史」を2012年度の共通テーマとして開講されます。

【Theory Round Table 開講スケジュール】

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申し込み方法
*この講座の受講生以外でも会員の方は、1コマ2,000円の受講料で聴講することができます(会員以外の方は、別途入会手続が必要です)。
*事務室までお電話またはファックスでご予約ください(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。

■日時:2012年6月28日(木)18:30-20:00
■会場:四谷アート・ステュディウム講義室 【地図】
■受講料:2,000円
■お申し込み / お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300


蔵屋美香くらや・みか
東京国立近代美術館美術課長。主な企画=「ヴィデオを待ちながら――映像、60年代から今日へ」(2009、東京国立近代美術館、三輪健仁と共同キュレーション)、「寝るひと・立つひと・もたれるひと」(2009、同)、「いみありげなしみ」(2010、同)、「路上」(2011、同)、「ぬぐ絵画――日本のヌード 1880-1945」(2011-12、同)。主な論考=「麗子はどこにいる?――岸田劉生 1914-1918の肖像画」(『東京国立近代美術館 研究紀要』第14号、2010)。