MARM 2009 企画展示 草月アートセンター|印刷物という「半影」

November 29, 2009|お知らせ

Into the Penumbra of Printed Matter | Sogetsu Art Center, 1958-1971

■会期:2009年11月27日(金)-12月7日(月)
※11月28日(土)、29日(日)、12月6日(日)は休館
■場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 東館展示スペース(東門近く)
■時間:12:00-18:00
■入場無料

■主催:港区芸術文化資源研究・アーカイヴ計画
MARM(Mining Art Resources in Minato)
■協力:財団法人草月会資料室 / 慶應義塾大学アート・センター
■助成:平成21年度 港区文化芸術振興基金助成事業
■お問い合わせ:
MARM 事務局(慶應義塾大学アート・センター内)
代表 渡部葉子|〒108-8345 東京都港区三田 2-15-45
Tel. 03-5427-1621
■交通:JR山手線田町駅、都営三田線三田駅など(徒歩約8分)

●関連印刷物(会場配布):
『PENUMBRA OF PRINTED MATTER: SAC 1958-1971』
上崎千・久保仁志(編集)、森大志郎(デザイン)

●関連イヴェント:もやし――印刷物と「残りのもの」
上崎千・久保仁志・森大志郎による公開セッション
12月5日(土)17:00-19:00(入場無料・事前申し込み不要)

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●イントロダクション:

「今日の私たちの世界には、ワーテルローの戦いとの関連によって構成された永遠的客体(eternal objects)の半影が存在している。」
――A. N. ホワイトヘッド『過程と実在――コスモロジーへの試論』1929年

シアターとはコンテナー=貨物輸送機であり、あらゆる出来事(event)を運ぶことができる。そして、運び終えられた過去の出来事は、現在という光の中で濃密な影となって堆積していく。それは、例えば記憶のように過ぎ去る時間の中で存続するものにしか内在することはない。しかし、印刷物(printed matter)というコンテナーはある出来事を投射されることによって、それを影としてではなく、現在のまばゆい光に照らし出された「半影」として存在させることができる。草月アートセンターが試みたことの一つは、この半影の内にもう一つの現在であるような光を宿すこと。揺れ動く半影をプロジェクターが照らし出す、シアターのような印刷物を一つの出来事として作ることであった。本企画は、このような草月アートセンターの半影を印刷物によって映し出す試みである。[久保仁志]

この一覧表の課題は、取捨選択されたモティーフを絶妙に配置して見せること(compose)ではなく、特定の網羅性において扱うことが可能な全てのモティーフを、淡々と並置すること(juxtapose)である。私たちの関心は、選択的なリストが表現する虚構と、網羅的なリストによって記録される虚構との質の違いにある。全てのものが残されているのではないことを知っている私たちは、選択 / 淘汰(selection)の境界線上で、全ての「残りのもの」を扱う――記録の網と、表現の網を重ねて。(実は、どちらの網も記録という横糸と表現という縦糸で編まれており、網目は均一である。)出来事(events)が仮に捕獲可能なモティーフであるとすれば、いま私たちがこの表に張った二重の網、「アーカイヴ」と呼ばれるこの網は、出来事を捕獲する二重の網目としてのコンテナーを持つ。[上崎千]