絵本講座 ゲスト講義=朴裕河[12月11日]
アヴァンギャルドのための絵本講座 旅する人篇(講師=ぱくきょんみ)では、朴裕河(パク・ユハ)氏(批評家・近代日本文学・批評史)をお招きして、以下のテーマで講義を行なっていただきます。
後藤明生『夢かたり』を読む
日本の敗戦時、ほぼ600万人の日本人が海外から日本へ引揚げてきたということを知っているだろうか。敗戦前後、多くの人々が辛酸な体験をしているが、中国地域や北朝鮮地域にいた人たちもその例外ではなかった。彼らは暴力や伝染病、そして飢餓をも経験しながら憧憬の地-「内地」へ帰ってくることになるのだが、やがてその中からすぐれた表現者たちが現れることになる。
後藤明生(1932-1999)もその一人で、後藤は北朝鮮の栄興で生まれ、十二才の時引揚げの体験をしている。彼の短編連作『夢かたり』は少年時代の思い出を綴ったもので、少年の目に映った植民地の日常と敗戦前後のことが書かれている。少年の意志とは関係なく選ばされ、そして‘ある日突然に’奪われた 「故郷」体験はどのように描かれているのだろうか。今回の講座では、内なる故郷を故郷と言えず、同時に「本国」もまた故郷ではありえなかった、戦後日本のもうひとりの 〈旅する人〉について考えたい。
――朴裕河
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申し込み方法
*受講生以外の方も、2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話/ファックスで、または直接ご予約ください
(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。
■日時 : 2009年12月11日(金)
1時間目|朴裕河|18:30-20:00
2時間目|ぱくきょんみ|20:00-21:30
■会場 : 四谷アート・ステュディウム講義室
■受講料 : 2,000円
■お申し込み/お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300
朴裕河|パク・ユハ
1957年ソウル生まれ。日本文学研究者、韓国・世宗大学副教授。高校卒業後来日、一年間日本語学校で日本語を、以後慶應義塾大学と早稲田大学で日本近代文学を学ぶ。帰国後日本近現代文学の翻訳・紹介とともに批判的検証作業を続ける。主な著書= 『反日ナショナリズムを超えて』(河出書房新社)、『和解のために――教科書・慰安婦・靖国・独島』(平凡社)、『ナショナルアイデンティティとジェンダー――漱石・文学・近代』(クレイン)など。主な翻訳書=柄谷行人『日本近代文学の起源』、大江健三郎『万延元年のフットボール』など。
岡﨑乾二郎対談シリーズ 第3回|ゲスト:朴裕河
12月12日(土)18:30-【詳細】