絵本講座 ゲスト講義=高良留美子

June 13, 2008|講義

芸術の誕生に伴う痛みに真正面から向き合う。
ことばのヴィジョンを掘り起こす。
ひとりひとり詩の朗読の発表の目標のために。

2008年度の「アヴァンギャルドのための絵本講座 20世紀のテーゼとしての女性と表現」も佳境に入りました。
20世紀の幕開けとともに、まさに裸足で踊りだしたイサドラ・ダンカンは、人が踊り出すという原初的発動について早くから自覚的で、その体系を掘り起こし続けた舞踊家でした。イサドラへのオマージュを、マイヤ・プリセツカヤの作品で観ましたが、束ねていない髪の毛、ギリシャの女神を想定したからだを締め付けないコスチューム、そして裸足で力強く地を蹴って踊ることに、21世紀のわれわれも「ダンス以上のもの」を感知してしまいます。
イサドラ、レニ、マイヤ、マーサ、チェ・スンヒ、そして武原はん、20世紀の舞踊芸術モニュメントを体現した女性舞踊家がある意味直感で摑もうとした「人が踊り出すという原初的発動」には、古代文化への関心が色濃くあります。なかでも「月」や「月母神」のイメージ。それはクニから国家形成/保存の世界史の中で、封じられた、見えにくくされた文化史でもあるのです。

6月27日のゲスト講義には、詩人高良留美子さんをお迎えして、「月と女性文化」について縦横無尽に語っていただこうと思います。

太陰暦思考の刻印を辿ることができる八ヶ岳南麓の井戸尻遺跡の縄文土器の資料に光をあてていきながら、女性の文化史を丹念に研究されてきた高良留美子さんの貴重なお話を伺いますので、たくさんの方々の参加を願っております。――ぱくきょんみ

なお、前期のゲスト講義はこれで終わり、後期ゲストは次のような予定になっています。
9月|藤富保男[詩人]
10月10日|國峰照子[詩人]
11月28日|水田宗子[城西国際大学学長/女性表現研究]

※9月ゲスト講義予定が変更になりました。変更後の情報はこちらをご覧ください。

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申し込み方法
*講座受講生以外の方も、2,000円の受講料で聴講することができます。
*受講ご希望の方は、事務室までお電話/ファックスで
または直接お申し込みください(定員に達し次第受付を
締め切りますのでお早めにお申し込みください)。

■日時 :
2008年6月27日(金)
1時間目|高良留美子|18:30-20:00
2時間目|ぱくきょんみ|20:00-21:30
■会場 : 四谷アート・ステュディウム講義室
■受講料 : 2,000円
■お申し込み / お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300


高良留美子[こうら・るみこ]
1932年東京生まれ。詩人。詩、小説、評論と幅広く活躍しながら、世界の根源にあるものに対してつねに強靱な眼差しを向けてきた。その姿勢は、80年代の訳詩集『アジア・アフリカ詩集』(土曜美術社出版販売)や『アジア・アフリカ文学入門』(オリジン出版センター)の著作群から、『高群逸枝とボーヴォワール』『女の選択』『母性の解放』などを集めた『自選評論集高良留美子の思想世界』(土曜美術社出版販売)、『岡本かの子いのちの回帰』(翰林書房)にまで貫かれている。主な詩集=『場所』『高良留美子詩集』『風の夜』『崖下の道』(以上、思潮社)、『しらかしの森』(土曜美術社)など。