Nature of Future――環境・文化耕作ゼミ 散策実習観察記録

February 10, 2013|イベント

地形と植生 気象と家屋 2012

1月17日、 GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVEにて、「Nature of Future――環境・文化耕作ゼミ」(講師=北川裕二)が2012年度に散策実習した、東京各地の路上観察記録の写真660点の展示と、講師とTAによる解説・研究発表が行なわれました。

展示では、2名の視点により撮影された各地点30枚ずつの写真を並列させ、場所の順番が同期するかたちでプロジェクションを行ないました。そこに北川氏から解説が加えられました。
そのレクチャーにおいて、神奈川、埼玉を含む東京各地の地形的特徴と歴史的な出来事、現在の場所の状況とが重ね合わされ語られました。たとえば、神奈川から東京にかけて下末吉面と呼ばれる台地が、下末吉台、淀橋台、荏原台、高座台地など幅広く点在している。その台地が作り出す、すり鉢状の空間の使われ方が、六本木では起伏の高い場所が公的、低い場所が商業地区、同じように高所得者層、低所得者層などの霜降り状の棲み分けとして見出せる。一方で横浜の下末吉台では、それが農村の区分を形成している点が指摘され、地形的な要因の上に、さまざまな要素が重なり合い、複雑な状態を作り出していることが考察されました。
続いて、都市東京で自然と人間の関係が明治維新、関東大震災、東京大空襲などの複数の事象によって断絶と再構築を繰り返しており、その様相が道路拡張工事の不安定な道幅と関係づけて語られ、そうしたディテールが私たちの都市に持つイメージへ影響を与えていると言及されました。
また、丸ノ内線四ッ谷駅は、地下鉄でありながら中央線より上を運行している。それは、丸ノ内線が武蔵野台地の中に作られ、中央線四ッ谷駅はそれより低い沖積層を通っているためであると解説されました。そこでは、地下鉄と鉄道の線路の関係が一般的に考えられるイメージとは違うかたちで存在しているといえます。そのズレと事実に対して目を配る必要があること、そして、かつて地形学者貝塚爽平が地形をセザンヌの絵画に重ねて見たように、外界を面と面との集合体として観察し、理解することの重要性が強調されました。

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主な散策地域
吉見百穴
江東区運河
全生園・滝山団地
京島
新富町
日野市
隅田川東京湾・江東地区葛西臨海公園
生田緑地・多摩丘陵
青梅・横田基地
丹沢・大山
六本木・麻布

研究発表
田中丸善一「公園について」