Nature of Futureゼミ ゲスト対談 vol.1=いとうせいこう/富田京一

July 16, 2012|講義

Yotsuya Art Studium meets DOMMUNE大学
生物は進化しているのか?

6月25日、「Nature of Future――環境・文化耕作ゼミ」の一環として、ゲスト講師いとうせいこう氏による対談シリーズの第1回が、富田京一氏(爬虫類・恐竜研究家)をゲストに行なわれました。渋谷のDOMMUNEを会場に、満席の聴講者が聞き入る中、爬虫類、恐竜、人間、進化などについてのテーマが扱われた対談の模様は、ライブストリーミングサイト「DOMMUNE」の番組としてインターネット中継されました。

始めに富田氏から、泳ぐのが得意でない魚が、酸素不足に陥る浅瀬に追い込まれて肺呼吸を行うようになり、干上がる水辺を移動することから両生類が生まれた説が語られ、限定的な空間でしか生きられない保守的な生命が、むしろ変革を生んだのではないかという議論が展開されました。そして、ほ乳類の祖先は爬虫類だったことが一度もないという指摘から、両生類から人間に向う直線的な進化指向の考え方への疑いが、肺から浮き袋へ進化した魚、胎生から卵生へと進化した爬虫類、足からヒレへと進化したクジラなど数々の事例に基づき導きだされました。
また「人類とは何なのか」の問いには、長距離を歩ける能力が人間の特性として挙げられ、それを可能にした発汗という精緻な体温調節の機能が、同時に脳の大型化を可能にしたことが説明されました。加えて、人類の歴史のなかで、海岸を歩き食料を集めていた時期に進化の重要な段階を見る議論が富田氏から紹介され、歩く行為が祭事になったパレードなどの風習をはじめ、ぶらつくことが人間の習慣、文明観に影響を与えているのではないかとの考察がありました。

生物の「進化」は、生物自身がコントロール出来ない環境との関係において成立するとの見方から、大きな脳を持ち、複雑化した体制でエネルギーを消費することが必ずしも進化ではなく、マクロな視点で見ると、シンプルな存在、単細胞生物などに生き残りの可能性が見出せることが検証されました。

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写真中|富田氏が飼うイグアナとともに


※なお、このシリーズは全3回行なわれます。
第2回…10月15日(月)19:00−21:00
第3回…12月10日(月)19:00−21:00

特別協力:DOMMUNE / 宇川直宏

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