これからの芸術、これまでの芸術――4 豊嶋康子/岡﨑乾二郎[3月14日]
特別公開講座「これからの芸術、これまでの芸術」シリーズ第4回として、ゲストに豊嶋康子氏(美術家)をお招きして、豊嶋氏のレクチャーの後、岡﨑乾二郎(本校ディレクター)らとのディスカッションを行ないます。
※四谷アート・ステュディウム会員以外の方も受講することができますので、奮ってご参加ください。
芸術行為はフェアプレイの抽出である
アリストテレスの詩(演劇)論に倣うなら、人のスポーツへの熱中はそこに現実的にはありえないが可能である─可能性を見る(ようとする)からだろう(可能性はポジティブなものばかりではない)。スポーツで可能なるものが際立つのは、そこに日常生活以上に厳格なルール─現実的束縛があるゆえ。
ルールはいかに不合理に感じられようと絶対的で変更不能である(ゆえに現実的にはありえない、が可能であるだろうもの=可能性は際立つ)。そして、ときにその規則は世俗的諸力に介入され不当に操作されたりもしている)。
行為者はその能力に従って自由に行為しているようだが、能力はこうした非情な行為をありえないものとして制限する現実規則、条件に対峙している。その行為が悲劇的にも見えるのは、彼らが把握している(と考える)現実規則、条件が決してその全てでなく思いがけぬ不条理で歪曲されているから。
スポーツマンの自由意志が発現するのはこのときである。ルールに従うというのはどうあるべきか。ルールはいかにありうるべきか。彼の行為は、もはや何にも依らず、自らそれを体現する(それが現実的に提示されたルールに逆らって見えるとしても) 。
そして、ときには(その不条理そのものと化した)ルールに「あえて」従って試合を去ることもを余儀なく選択しなければならないときもある。フェアプレイとは何か。現実にはありえないが可能であるべきだとする(法そのものが従うべき)規範つまりすべての行為の格律が、たった一人の行為によって示されるとき。
――岡﨑乾二郎
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お申し込み方法
*本校の会員以外の方も2,000円の受講料で聴講することができます。事務室までお電話/ファックスでご予約ください。会員の方に限り、メール申し込みも受け付けます。
*早々に定員に達することが予想されます。定員に達し次第受付を締め切りますので、お早めにお申し込みください。
■日時:2013年3月14日(木)19:00-21:00
- 第1部|レクチャー|豊嶋康子
- 第2部|ディスカッション|豊嶋康子、岡﨑乾二郎|出席者:前嵩西一馬
■会場:四谷アート・ステュディウム講義室 【地図】
■受講料:2,000円
■問い合わせ/申し込み先
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300
ゲスト プロフィール
豊嶋康子|とよしま・やすこ
1967年生まれ。美術家。東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了(1993) 、主な展覧会=「Art Today 1990 複製技術時代の芸術復興」(高輪美術館、1990)、「実験展 3」(M画廊、1996)、「クリテリオム25ミニ投資」(水戸芸術館、1997)、「傾く小屋―美術家たちの証言since 9.11」(東京都現代美術館、2002)、「ANTINOMIE」(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE、2003)、「第3回府中ビエンナーレ 美と価値 ポストバブル世代の7人」(府中市美館、2006)、「隠蔽工作」(M画廊、2012)。
http://www.toyoshimayasuko.com/
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「これからの芸術、これまでの芸術」シリーズ
プレ・セッション|石川卓磨、上村卓大、蔵屋美香、沢山遼、渡辺泰子、山本良浩
第1回|ゲスト=宮本隆司/林道郎
第2回|ゲスト=内藤廣|個物から、可能な世界を引き出す。
第3回|ゲスト=前嵩西一馬/眞島竜男|芸術と法、を巡って。