ことばのPicture Books講座 ゲスト講義=藤井貞和[7月9日]
ことばのpicture books講座
7月9日(金)ゲスト講義に
詩人、古代文学・言語態研究の巨人、藤井貞和先生をお招きします。
講義テーマ
母、ことば、身体、霊能者、祭……
前回の精神科医・評論家の斎藤環先生によるゲスト講義は何度も熟考したい論点をのこしてくださいました。
韓国映画『母なる証明』を起点とした「母子論」の講義で、
ポン・ジュノ監督の映画にある「身体性」に焦点が結ばれていきました。
嫌な記憶を抹消する鍼のツボ、
放尿する息子に煎じ薬を呑まし続ける母親、
事件の鍵となる携帯電話が埋もれていた米壷、
畳み掛けるようにスパンで見せる、踊る母親、踊る女たち・・・
この映画の底流となっている朝鮮半島の女性民族文化へ視野を広げますと、 「母なるものの身体にことばがまつわる」というテーマがあぶり出されてきました。
これは、トニ・モリスンの『ビラヴド(愛されしもの)』を講読し、アメリカ黒人のブルースやソウルの変遷を辿ってきた本講座の大事な文脈ともおおいに重なります。
韓国における霊能者の祭り(別神=ビョンシン=クッ)のビデオを見て、韓国女性が今なおよりどころにしている祭祀の世界=踊る女たちにふれてみることにしました。
7月9日は、午後6時半からはじめますが、仕事の関係で遅れざるをえない人も多いので、7時からビデオを見ます。
藤井先生には、ビデオを見る頃からいらしていただき、いっしょに霊能者の時空間を共有していただき、講義あるいは談話、に移ってゆく予定です。
《受け継ぐことば》は、言語をとおしてだけのことではない、
といって「身体のことば」などという表現では摑めなかったことを確認しながら、みなさんと議論できる場になることを願っています。
「真には《詩のことば》なんか存在しないかもしれないのだ。あるのは言語の体験であり、容認できるのは構造と出来事との総体にのしかかる、憑き物であったのかもしれないのだ。そして現在にもその体験がありつづけると信じよう。」――藤井貞和著『詩的分析』(2007年、書肆山田)より
申し込み方法
*受講生以外の方も、2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話/ファックスで、または直接ご予約ください
(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。
■日時 : 2010年7月9日(金)18:30-21:30
■会場 : 四谷アート・ステュディウム講義室
■受講料 : 2,000円
■お申し込み/お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300
藤井貞和|ふじい・さだかず
1942年生まれ。詩人、古代文学・言語態研究。詩集= 『ことばのつえ、ことばのつえ』『人間のシンポジウム』(以上、思潮社)、『ピューリファイ、ピューリファイ!』『ラブホテルの大家族』『神の子犬』(以上、書肆山田)など。研究書・評論集=『源氏物語の始原と現在』(三一書房)、『源氏物語論』(岩波書店)、『詩の分析と物語状分析』(若草書房)、『平安物語叙述論』『物語理論講義』(以上、東京大学出版会)、『詩的分析』(書肆山田)、『言葉と戦争』(大月書店)など。