橋本聡「行けない、来てください」「待てない、逃げてください」
2006年第1回マエストロ・グワント(四谷アート・ステュディウム最優秀アーティスト賞)受賞の橋本聡氏による展覧会が、アーカス・スタジオほかにて行なわれます。
――チラシのテキストより
ARCUS Japanese Artist Support Program Vol.1
行けない、来てください
橋本聡
can't go, please come
Satoshi Hashimoto
会期:2010年3月27日(土)-5月30日(日)
場所:アーカス・スタジオ
時間:13:30-18:30[入場は18:00まで]
休日:日曜・月曜・祝日[3月28日(日)、5月30日(日)は開館]
入場無料
主催:アーカスプロジェクト実行委員会
キュレーター:遠藤水城
オープニングトーク[橋本聡×遠藤水城]:3月28日(日)17:00-
オープニングレセプション:3月28日(日)18:30-
パフォーマンス:4月3日(土)、4月24日(土)、5月30日(日)それぞれの13:30-18:30
橋本聡は2007年よりアーカス・スタジオをしばしば訪れ、作品を設置してきた。いま「作品」を「設置」と書いたが、そこに置かれた「モノ」が作品なのか、その設置という「行為」が作品なのかは判別しがたい。もう一つ言うと、彼の「モノ」と「行為」は往々にして、それより前の展覧会からの流用であり、未来の展覧会へと繋がっていく。だが、それらは常に誤配され、どこか間違ったやり方で再登場している。もっと言うと、彼の「モノ」と「行為」は展覧会という時間的・空間的な制約の外に広がる日常とも繋がっている。あるいは、そこに切断が見いだせない。だからといって日常生活をそのまま展示空間に持ち込んでいるわけでも、芸術作品や芸術行為をそのまま日常空間で展開しているわけでもない。僕が思うに、彼はアートをめぐる新しいエコノミーを作り出そうとしている。それは人間のエコノミーというよりは、幽霊のそれのようなものだ。制作、展示、鑑賞、記録、保存、売買といった作品をめぐる経済的かつ美学的な分業体制の意図的な攪拌と、非意図的な攪乱。あるいは、見ることの価値を棄却することで発生する、見てしまうものへの恐怖と欲望について。
今回は、橋本聡がアーカス・スタジオの4教室およびその外部を使用して行う大規模な個展となる。是非、ふらりと、展覧会にくるつもりではない気持ちで、幽霊のように来場してほしい。
[遠藤水城/本展キュレーター]
アーカス・スタジオ
茨城県守谷市板戸井2418
もりや学びの里内 〒302–0101
Tel & Fax: 0297–46–2600
Mail: arcus@arcus-project.com
http://www.arcus-project.com
アクセス:http://www.arcus-project.com/jp/about/access.html
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待てない、逃げてください
橋本聡
can't wait, please escape
Satoshi Hashimoto
期間:2007年頃から、いつまでか不明
場所:アーカス辺り、及び不明
トーク[誰か]:2010年3月以降では、4月のいつか、5月のいつか、6月のいつか・・・
パフォーマンス:2010年3月以降では、3月のいつか、4月のいつか、5月のいつか、6月のいつか・・・
こんにちは。今は2月、寒さの峠です。 あなたとは今まで会いませんでした。会ったとしても挨拶程度ですよね。
このチラシ、どのようになりましたか? 動物を使うのはうまくいったのかしら。今や野良犬は駆除され尽くしているから難しいかもしれません。目当ての虫もこの季節には姿を潜めています。だとしたら、石を利用したのか。どちらにしても汚れて見にくいチラシになったのではないでしょうか? 裏表で、会期や場所の違う別のものが記されてややこしいでしょうし。もしそんなに汚されているのだとしたら、ひとつはカモフラージュのためでしょう。しかし、汚れを除去してはいけません。汚れは足されたのではなく、引かれたものだから。ですので、あなたが補い、探すのです。その汚れもガイドに。でも、方々をほっつき歩く野良犬を定められないように、とても難しいことかもしれません。転々とする巣も人目につかないとこでしょうから。ですので、これからも会えないかもしれません。 推し測ってください。この文章も汚れています。
私は紙ですから折って、ズボンの後ポケットに入れてください。そして入れたことを忘れ、よく動き、座って尻で圧迫し、負荷、体温、汗を与えて頂きたい。更に一緒に洗濯され、乾き、また忘れたまま履かれれば幸いです。粉々になってかまいません。