ブランカッチ礼拝堂壁画分析

March 6, 2010|研究

岡﨑乾二郎
近畿大学国際人文科学研究所


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岡﨑乾二郎『ルネサンス 経験の条件』で論述した、ルネサンスの知覚革命を刻印する、マサッチオ(他)による、ブランカッチ礼拝堂「聖ペテロ伝」連作壁画を新たに構築した、画期的かつ精細な、3D解析、サウンド解析、および模型、などによって詳細に分析、提示します。

ブルネレスキの方法、およびその展開としてのブランカッチ礼拝堂壁画連作に見いだされるのは、知覚=認識は、視覚や聴覚などの入力器官の差異、現在の知覚と想起(今見ているものとかつて見たもの)の区別、時間と空間の隔たりを超えて構成されうる、という自覚であり、離散的な感覚与件=知覚情報を束ね、組織する方法である。すなわち、ここで視覚、聴覚、触覚あるいは記憶、想起といった諸々の感覚の区分、分節は徹底的に解体され、そして組み替えられる。
すなわち、この方法によって新たに構築される知覚の構造は、もちろん絵画という一つのメディアに収まりきるものではなく、建築や音楽といった他のメディアとも通底する、新たな次元のものであった。
本研究は、現在、無数に分裂、分散しつつあるメディアをいかに組織し、構造化するかという急務の課題、いわゆるマルチメディアの原理に、重大なヒントを与えるはずである(リーフレットより)。


[お知らせ]申込みがすでに定員数に達しているため、キャンセル待ちの受付のみとなります。
詳しくは、下記申し込み先までお問合せください。

■日時:2010年3月28日(日)14:00—15:30(13:45開場)

■会場:四谷アート・ステュディウム講義室【地図】

■定員:50名

■入場無料(※要予約

■申し込み先:03-3351-0591(近畿大学東京事務所)
※原則として申し込み後のキャンセルは受け付けておりません。
やむを得ない事情でキャンセルされる場合は事前に必ずご連絡ください。

■主催:近畿大学国際人文科学研究所 四谷アート・ステュディウム

この催しは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「デジタルメディアを基盤とした21世紀の芸術創造」の一環として行なわれます。


図版:ブランカッチ礼拝堂壁画(拡大細部)|15世紀
左:『貢の銭』と『テオフィルスの息子の蘇生と教座のペテロ』の重ね合わせ
右:『魔術師シモンとの議論とペテロの磔刑』と『テオフィルスの息子の蘇生と教座のペテロ』の
鏡像反転による重ね合わせ