「ことばのPicture Books講座 母なるもの篇」のための映画鑑賞会[更新]

March 26, 2010|イベント

2010年度「ことばのPicture Books講座」受講にむけた、予習となる映画鑑賞会です。
「ことばのPicture Books講座」の受講を申し込んだ方か、希望する方、もしくは、2009年度までの「アヴァンギャルドのための絵本講座」を受講した方に限り、参加可能です(要予約)
[*本鑑賞会は、研究員、講師による自主勉強会です。]

■上映スケジュール:
第1回|2月26日(金)19:00-『ビラヴド 愛されし者』(172分)
第2回|3月6日(土)13:00-『青幻記』(111分)/『田園に死す』(102分)
第3回|3月13日(土)13:00-『何がジェーンに起ったか?』(134分)
第4回|4月3日(土)13:00-『ビラヴド 愛されし者』(172分)
第5回|4月8日(木)19:00-『アイ・ショット・アンディ・ウォーホル』(105分)[追加しました]


映画鑑賞会に寄せて[続報が届きました]

映画『アイ・ショット・アンディ・ウォーホル(副題アンディ・ウォーホルを撃った女)』
(1996年アメリカ映画) 

「そのうち、誰だって15分間は世界に名が知られるのさ。」
In the Future everybody will be world famous for fifteen minutes.
From the words by Andy Warhol

アンディ・ウォホール(1928-87)は、
アメリカのポップアートの代名詞のような芸術家です。

彼がそのクールな芸術活動の最盛期に銃弾に倒れたことを知っていても、その背景まではなかなか辿り着けませんでした。犯行に及んだのはヴァレリー・ソラナス* というフェミニストの活動をしていた女性だったということをこの映画で知ってから俄然興味が湧いてきたのは、ここには表現を目指す人がぶちあたる問題を鋭く突いているからでしょう。

冒頭にあげたウォホールの言葉は、「15分くらいなら誰だって有名になれる」とか「15分ぐらいなら、人をカメラの前に立たせられる」とか、時と場所によっても少しづつ言い回しが変わりながら流布されてきました。

ウォホールは並べました。キャンベルスープの缶、花、牛、有名人の顔、表情、、、、すべて等価に。彼のモットーは「特性がない」ということにあったのに、彼が注目されるのはその逆説がわたしたちを刺戟した時でした。

公民権運動、フェミニズム、その時代の風を受けながら、独自な表現活動のためにホームレス/売春婦の状態でニューヨークにしがみついていたヴァレリーの存在は、ウォホールにとって「ただのひとつ」であったけれど、ふたりを対比することで芸術の限界(陥穽)を示しているのではないか・・・

そういう点について、みなさんも注目しながら鑑賞してください。

この映画と2回目の『ビラヴド』で事前鑑賞会は終わります。各自のコメントを4月の授業がはじまってから聞くのを愉しみにしています。

――ぱくきょんみ 2010.3

* ヴァレリー・ソラナスは、フェミニスト。“SCUM Manifesto”(SCUMはSociety for Cutting Up Men、全男性抹殺団の略で、英単語の"scum"とのダブルミーニング)を唱えたことで知られる。


『ビラブド』はトニ・モリスンの小説をベースに
ジョナサン・デミ監督が1998年に映画化したものです。
モリスンはこの小説でピュリツアー賞を受賞し、
のちのノーベル文学賞受賞への道筋をつけたと言われるモニュメンタルな作品です。

トニ・モリスンは現代アメリカを代表するアフリカ系女性作家です。
17世紀にアフリカから連れてこられた黒人奴隷制度がどのようにアメリカ社会や人々を蝕んできたか、というテーマを一貫して文学表現の中に溶かしこんできた作家です。
人間の尊厳の問題にふれながら、生きることの闇を凝視する作家のまなざしは厳しくも深く、
濃くてリズミカルな文体に結実しています。
そのヴィヴィッドな感覚を映像化したデミ監督の手腕には何度見ても感動をあらたにするでしょう。
わたしの講座ではモリスンの作品講読をしますので、
まずはこの作品によってモリスン世界の扉を開けてほしいと思います。
なお、この作品は日本では劇場公開されず、
ビデオなども普及していないので2度鑑賞会を開くことにしました。

――ぱくきょんみ 2010.2


申し込み方法
事務室までお電話/ファックスでまたは直接ご予約ください
(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。

■定員:30名(要予約)
■会場:四谷アート・ステュディウム講義室【地図】
■お申し込み/お問い合わせ:四谷アート・ステュディウム事務室(校舎2F)
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300