絵本講座 ゲスト講義=加島祥造[6月12日]
私の中で詩の生まれる時
――ポー 大鴉の訳を通して
ことしの絵本講座では、英語文化圏を生きるひとたちのことばの基層を育むマザーグースや、19世紀の稀有な詩人エミリー・ディキンスンの詩をふり返りつつ、1960年代のロック・カルチャーの水脈をたどっています。アメリカ合衆国に奴隷として連れてこられたアフリカ黒人が唄い継いだブルースが英国の若者をつき動かし、ロックという音楽旋風を起こし、世界中で旧弊な価値観を揺さぶりつづけました。
1970年代に学生だったわたしにとって、英文学史とミック・ジャガーは別物でしたが、英米文学の翻訳を読むとき、何かが繋がっていくのにはっとしたものです。なかなか何かはなんであるかわからなくても、英米文学の文脈を読み解くことに魅了されていきました。
1970年代は英米文学の翻訳の黄金時代でもあり、その綺羅星の中に、加島祥造さんもいらっしゃいました。2009年、アヴァンギャルドのための絵本講座「旅する人」篇に、加島さんをお招きすることを光栄に思います。(ぱくきょんみ)
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『季刊 銀花』最新号(2009年夏・第百五十八号、文化出版局)で、
加島祥造さんの特集「受け入れる心・加島祥造と生命のエナジー」が組まれています。
加島さんの最新刊
*加島祥造セレクション 3『大鴉 ポー訳詩集』
推理小説作家として有名なエドガー・アラン・ポーの長詩「大鴉」は壮大な恋愛詩。詩人・加島祥造が自らのスピリットと照らし合わせ、ついに名訳を誕生させた。物語詩の魅力に光をあてる書き下ろしエッセイ、ほか詩6編も併録。
(A5判/定価1890円)
加島祥造セレクション 全3巻/完結
翻訳家としての深い経験と、詩人としての高い感性によってきわめられた翻訳詩の粋を集める。
発行:港の人|http://www.minatonohito.jp
*加島祥造セレクション 1『最後のロマン主義者 イエーツ訳詩集』
*加島祥造セレクション 2『秋の光』
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申し込み方法
*受講生以外の方も、2,000円の受講料で聴講することができます。
*事務室までお電話/ファックスで、または直接ご予約ください
(定員に達し次第受付を締め切りますのでお早めにお申し込みください)。
■日時 : 2009年6月12日(金)
1時間目|加島祥造|18:30-20:00
2時間目|ぱくきょんみ|20:00-21:30
■会場 : 四谷アート・ステュディウム講義室
■受講料 : 2,000円
■お申し込み/お問い合わせ
近畿大学国際人文科学研究所 東京コミュニティカレッジ
四谷アート・ステュディウム事務室
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-5 2F
tel. 03-3351-0591(9:30-17:00、日曜・祭日 休)
fax. 03-3353-7300
加島祥造|かじま・しょうぞう
1923年生まれ。詩人、墨彩画家、タオイスト。20世紀英米詩は言うに及ばず、トウェイン、フォークナーをはじめアメリカ文学の翻訳でも知られる。主な作品=詩集『晩晴』(思潮社)、『放曠』、訳詩アンソロジー『倒影集――イギリス現代詩抄』(以上、書肆山田)など。「老子」に深く沈潜し、 1990年代、英語からの自由な翻訳を試みた 『タオ ヒア・ナウ』(PARCO出版)を出版、全訳を収めた 『タオ――老子』(筑摩書房)とともにロングセラーになる。近著に 『求めない』(小学館)。