2013年04月

この講義録は、四谷アート・ステュディウムの学生のみに公開している講義録より、一部を抜粋したものです。
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第9回+第10回


【概要】

プロジェクト2. [注]
絵本の前提は、前もって知識のない人にも(ゆえに、こどもでも理解できるように)、ものごとの成り立ち、世界の成り立ちを、つぎつぎと展開する画面の展開だけで、表現することにある。ここで重要なのは、キレのあるリズム。論理的なリズム、知覚的なリズム。感覚の強度、強さ、魅力はこのキレ、切断とつなぎにかかっている。
絵本は、世界をもっとも明確で強い印象、場面、センテンスに分解することで、はじめてそれを見たときのような強い感覚を与え、またその分解された要素から、世界が再び組み立て直されている過程を経験させる力を持つ。絵本のなかで世界は(そこには悲しみも怒りも喜びもあきらめも元気も伴う)、何度でも再生される。

[注]2012年度ゼミは、異なる3つのプロジェクトで構成された。


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『もじゃもじゃペーター Der Struwwelpeter』ハインリッヒ・ホフマン(Heinrich Hoffmann, 1809-1894)著、1876

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Mani Leib and El Lisitzky《Yingl Tsingl Khvat (The Mischievous Boy) 》1918? 
ロシア・アヴァンギャルドの絵本

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『せいめいのれきし Life Story』バージニア・リー・バートン(Virginia Lee Burton,1909-68)著、石井桃子訳


目次


【概要】


【絵本について】
●絵本というメディアが規定する形式とは何か?
1. 物体性
2. 12のフレーム
3. こども、老人、外国人、宇宙人が相手


【課題「土をテーマに12見開きの場面をつくる」】
●絵本の種類


【課題についての注釈】
1. データ収集
2. 束見本
3. 形式・方法論
4. 3に対する批判


【絵本特有の「泣け方」とは?】
○絵本『ちいさいおうち』について
○絵本『サラダでげんき』について


【絵本というメディアの哲学的な側面】

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第7回

目次


【課題「映画を写真で抽出する」】


【建築空間と出来事】
●映画『しとやかな獣』について


【予兆と自然】
●映画『ハプニング』について


【ピンホールカメラとは何か】
●カメラの先駆であるカメラ・オブスクーラと
 ピンホールカメラに含まれる問題
○山中信夫、宮本隆司、佐藤時啓の比較


【「主観」を成立させるものとしての写真】
○写真には撮った者の主観が必ず入り込んでしまう
●ロラン・バルトの写真論
○「コード化されていないメッセージ」とは何か?
○マルティン・ハイデガー『芸術作品の根源』


【イタリア・ファシズム建築の特異な古典性】
●映画『暗殺の森』について
○イタリア・ファシズム建築と形而上絵画
○建築家アルド・ロッシ


【次回までの課題】

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【課題「映画を写真で抽出する」】


以下の映画を観て、
その映画のスタイル(様式的な特徴)を抽出し、
写真を撮る(複数枚)。

コマ送りや静止画像にするなどして観察。
筋やドラマとは直接関係ない部分を分析すること。

■『しとやかな獣』1962 川島雄三監督

■『暗殺の森 Il conformista』1970 ベルナルド・ベルトリッチ監督

■『ハプニング The Happening』2008 M・ナイト・シャマラン監督

[番外]
□『フォロー・ミー Follow Me!』1972 キャロル・リード監督

様式」と「出来事」、この二つを両立させること。
 写真には様式があることを意識しつつ、
 前回の課題(過去の事件)のように追憶的にならずに
 いま現在生起したという、出来事を捉えようとすること。

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第1回

 
【概要】


プロジェクト1. [注]
目の中で、歴史が立ち上がる。出来事を表現しよう!!
いま目撃している出来事、かって起こった事件、物語。
歴史的な出来事をどのように(いまここで起こっているかのように)表現するか。歴史や物語に含まれる時間を、作品でどのように現すか、語るか、という芸術の重要な主題の一つを、(展覧会での上映を前提とした)写真作品、映像作品(5分程度)として作り上げる。

[注]2012年度ゼミは、異なる3つのプロジェクトで構成された。


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Alfred Rosenberg in full flow in a German street, 1932. Rosenberg was a Nazi propagandist and writer who had joined the party in 1920. He was hanged for war crimes at Nuremberg in 1946.


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August 1944. Members of the French Resistance mopping up a Paris street. There were those among the Allies who hoped that the French would rid the city of German troops on their own. But there were others who fought to be the first to enter Paris.


目次


【概要】


【「歴史画」としての写真】
●「作為的(やらせ)」とは? 「出来事」とは何か?
○絵画と写真
○出来事を認識することはできるのか?──因果・ストーリー
○出来事の前後

●歴史画の問題
○プレス・フォト(報道写真)
○動画と静止画
○アンリ・マティス
○光と影── ブリューゲル
○「飛び込むひと」というモチーフ
○「握手」というモチーフ
○出来事そのものは知覚・感覚できない / 現在以上の現在を作り出す


【課題「写真の模写」】


【課題講評より】

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