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Experiment|実験コンセプト

07|毛利悠子

私の疑問シリーズ
――媒体の状態を知るための実験

実験の目的

仮想空間で起こる現象を使って、生活空間を捉えなおす。

実験の仮説

仮想空間とは、モニター上でどんなに美しくみえる3D映像もただのビットで形成されているような世界である。それは人間の欲望が原動力となって生まれた空間で、我々の生活空間の産物であり、生活世界の意味を考える格好の場となるといえる。
しかし、仮想空間を利用するとき、我々はインターフェースを介してやっとその場に触れることができる。これは壁であり、もしツールがなければ、知覚さえできないものだし、ビット自体は知覚するものではなく数字として認識するものである。これは仮想空間の中ですべての人間は知覚障害があるのと同じといえるのではないだろうか。仮想空間をあつかった芸術作品は特殊なインターフェースとしてあるべきである。またそれを制作するにあたって作家は仮想空間のノイズに敏感でいなければならない。
例えば、エラーという言葉で表されている物は、エラーと呼んではいけない。それは現象であり、要素である。仮想空間は人間による産物ではあるが、生活空間の秩序にはない別の要素があるようだ。その要素は生活空間の秩序に当てはまらないため我々はエラーとよぶ。
この実験では、仮想空間でのノイズを内容の劣化としてとらえるのではなく、いち現象として作品の中で成り立たせ、提示する。人間がその現象を知覚し、認識し、仮想空間またはその要素を想像できたとき、生活空間のひとつの意味を捉えることのできる芸術作品(特殊な体験)となるのではないだろうか。

実験の方法

音声合成ソフトウエアと音声認識ソフトウエアを使用しコンピューターの中で音の現象をおこし、スピーカー、プリンターを使って出力する。
インターフェイスを介して出力される経過をみて、仮想空間の知覚外の現象を想像できるか、ためしてみる。