Experiment|実験コンセプト
04|平倉圭
ヴェロネーゼ的部分
実験の目的
行為不可能な状況における時系列的提示において、ものの「部分」と「全体性」がどのように経験されるのかを明らかにする。
実験の仮説
あるものの全体性は、それをいかなる距離(解像度)において、いかなる経路で経験するかによって異なる現れ方をする。しかしそのことによって、ものの全体性じたいが複数に分裂することはない。遠くから見られた山と、山のなかで見えるもの、遠くから一望された絵画と、画布の近くで見えるものは異なるが、そこで更新されていく全体性は、主体の行為‐探索の連続性のなかで、同じ全体性でもありつづける。もし主体が--映画館のなかでのように--感官に提示されるものに対して自ら行為できないとすれば、更新されていく全体性は、同じでありつづける全体性から分離されるだろう。両者の差異は、形なきものである。
先行する実験/提示として、ストローブ=ユイレ『ルーブル美術館訪問 / Une visite au Louvre』(2004)を参照すること。
実験の方法
パオロ・ヴェロネーゼ、またはほかの画家の絵画の「全体」と「部分」を、いくつかの異なる時系列的順序でスクリーンに提示(presentation)し、経験の変化と相違を記述する。
Paolo Caliari Veronese《The Wedding Feast at Cana》1562-63
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