遺伝や環境は人間のありかたにどのような影響を与えるのか。東京大学教育学部付属中学校の双子を集めた学級の生徒たちを、『教室の子供たち』などで確立された、子供の自然な表情を引き出す手法を引き継ぎながら描いてゆく。1つの卵子から産まれ、遺伝情報がまったく同じ一卵性双生児を、二卵性との対比や、双子を交互に映し出し、さらには画面を分割し双子を左右に併置させることによって比較する。そこでは顔のかたちや体つきがそっくりな一卵性双生児が、表情や身体の動きも類似していることなどを明らかにしてゆく。一方では、人間の性格は遺伝ばかりでなく、その後の生活環境によって形成されることも示される。しかし、遺伝や環境によって人間の行動が決定されるわけではなく、むしろ、つねに変化する「現在」における「発見」が契機となって行動が生み出されていく。それは羽仁進の映画の作り方にも共通する。
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