1964年4月、日本科学振興財団の東京12チャンネル(現在のテレビ東京)が開局した。良質な科学映画を提供していた岩波映画に科学番組を依頼し、その中で生まれたものが『ハロー・CQ』である。中学2年生の主人公がアマチュア無線を通じて得た、様々な人々との出会いと別れを描いた青春ドラマである。30分1回完結シリーズで、半年間、全26話放映される。
羽仁進が監修し、脚本は主にやなせたかし、大木国夫など。向田邦子も16話「泳げなかったトビウオ」を担当。羽仁は、第1話『コロンブスと跳び箱』、第4話『ジャンク屋とあいつ』、第9話『モナリザの雨』、第10話『スピード狂の蝸牛』の計4話の演出を担当する。30分という制約の中での、簡潔で痛快なストーリー、手持ちカメラによる様々なアングルからのカメラワーク、共通のフォルムを組み合わせて連続で繋げる編集とカット(『ジャンク屋とあいつ』の冒頭、輪になっている生徒たちと自転車の車輪のショットを並列)などの特徴は、『彼女と彼』以後の羽仁作品として、再び注目するのに値する。
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