2013年第6回マエストロ・グワント 審査総評

蔵屋美香|東京国立近代美術館美術課長

審査に初参加し、二つのことを考えました。一つ目は展示ということ。二つ目は、審査する私たちは今、どのように「すぐれた作品」を識別できるのかということです。まず展示について。この賞は募集時に「個展ができます」とうたっており、審査も展示の形で行われます。であれば、応募に当...

沢山遼|美術批評/ 美術史、武蔵野美術大学非常勤講師

既存の芸術的・生産的体系に従って作品を制作することと、作品が依拠するところの体系を自ら創出しつつ作品を制作することは、まったく異なる。今回の審査に立ち会って感じたのは、応募者に共通する後者の資質である。そのような態度が要求するのは、「作品」という単位の自明性を疑うことにほかならない。さら...

林道郎|美術史/ 美術批評、上智大学国際教養学部教授

今回の審査を終えて考えたことの一つは、多層性についてだった。多かれ少なかれ、応募者は皆、ミディアム/システム還元的な態度ではなく、多層的なレイヤーを制作のプロセスに噛ませることを方法的に選びとっている。ただし、その多層性をどのように捉えるかという点で、大きな振り幅があったように感じる。レイヤ...

前嵩西一馬|文化人類学・沖縄研究、早稲田大学琉球・沖縄研究所客員講師

|審査会総評(にかえて)|
午前11時にギャラリーの扉を開けると、そこには音楽や映像、絵本などを含む14の作品が「展示」されていた。ポートフォリオ も用意されていたため、軽めのランチを頬張り、目の前の作品をそれぞれ固有のタイムラインに差し戻す。この作業をどれだけ丁寧に遂行できるか...

松浦寿夫|画家/ 西欧近代絵画史、東京外国語大学教授

今回の審査に際しては、以前に感じざるをえなかった危惧、つまり、展示作品それ自体よりも、それらの作品が形成された作者の実存的な文脈の配慮への傾斜という危惧は大きく削減されたと思う。一審査員としては、作品外的な指標に依拠する必要のない作品を単に選択すれば良いという事実に従うだけのことだが、今回に...

藪前知子|東京都現代美術館学芸員

今年度は、絵画、立体、写真、映像、音楽、ミニコミ誌、マンガ、絵本など多岐にわたる表現が応募され、「芸術」という概念を、自律した各技術を体系化するために事後的に生成するものとして更新し続ける、本校の理念の浸透をここに感じ、刺激を受けた。

高木生は、「てにをは(tnwh)」...

岡崎乾二郎│造形作家、四谷アート・ステュディウム主任ディレクター

前回より2年を隔てることになった、第6回のマエストロ・グワント応募作は、物理的な作品の強さを抑制した、内省的に考え抜かれた表現が多くなった。一言でいえば、応募作家に共通するのは、芸術を受け入れる場(美術館や画廊などの展示スペース、ジャーナリストや批評家などの言説の場)を前提とせずとも、作品自...