実験音楽とシアターのためのアンサンブル
プログラムノート

久保田翠 《CANTATA (listening studies no.2) 》 (2013)

本作品は作者本人のソロ・パフォーマンス"SCORES"(2011)で初演した作品"Listening Studies"の第二バージョンとなる。第一バージョンと同様、本作でも演奏における呼吸(ブレス)がテーマである。声を出すことのみならず呼吸を意識的にコントロールすることにより、演奏者達はアンサンブルしつつアンサンブルしないという奇妙な状況で演奏することになる。耳に蓋はついていない。耳を閉じることは出来ない。 耳を閉じるためには、別の回路が必要となる。

馬場省吾 《概念と事実のレイテンシー》 (2012)*2011年委嘱作品

この曲は、テクノロジーについて主題にして、我々が一般的に考える理想に対して、事実が遅れをとることを複数人の言葉の発音というかたちで、コンパクトに制作された。ところで音楽形式としての合唱で言えば、機能和声的なものと対位法的なものを度外視することを目指している。

北條知子《裏返しに物語をまわして(聴取者のための)》(2013)

「物語」はあらゆる音楽において切っても切り離せないものであり、具体的か否かに関係なく、音楽を理解するための、もしくはより良いものとしてみなすための一手段として用いられる。この作品では、あるやり方を経由させることで、音楽から「物語」を排除するのではなく、その強力な力を利用し、裏返す。そして、聴取者の経験によって異なる音楽=物語の創出を試みる。

西浜琢磨《Band a part/はなればなれに》(2013)

運命は信じてないけど運命という言葉は好き。運命を感じるってどういうことなんだろう、とたまに考えます。

足立智美 《アクチニウム上のカノン》 (2011)
[文責:各作曲者自身による]